チーナ vol.1


シュプーーーン!!と飛び出す音とことば。男女5人組バンド、チーナの音楽は自由に、ポップに、そして楽しく音の風景を描く。サポート・メンバー2人を含む彼女たちは、メンバーにヴァイオリンとコントラバスが在籍しているという実にユニークなバンド。ファースト・アルバム『Shupoon!!』ではそんな彼女たちのユニークな個性がクラシックとロック・ポップスのしなやかなクロスオーヴァーのもと、美しく花開いています。

音大にはロックやポップスをやってくれる人がいないんです


──チーナはヴァイオリンとコントラバスを含んだ編成が実にユニークですよね。
椎名「そうですね。でも、ユニークな編成でやりたかったわけではなく、もともと弾き語りをやってた私が誰かと一緒にやりたくなって、周りにいた知り合いが同じ大学に通っていた弦楽器の2人を誘ったんですよ。そこから、編成を更に発展させたバンドをやりたくなったところで、ドラムの松本くんとギターの西依くんが入ったんですけど、最初は弦と合いそうだからということでアコースティック・ギターを弾いてたんです。でも、やってみたら、エレキ・ギターの方が相性は良かったりして、結果的によりロック度を増した編成になった感じですね(笑)」

──でも、普通は周りに弦楽奏者っていませんよ。3人が通っていたのは音大ですか?
椎名「はい、そうです。でも、逆に音大だったからロックとかポップスをやってくれる人がまずいないんですよ」
「私が一緒にやることになったのも、ある時、椎名と別の用があって、電話で話していた時に、“そういえば、柴ちゃんって、ポップスとかやってるよね? 私とも一緒にやらない?”って言われて。“いいよいいよ”って軽いノリで引き受けたんです」
「私も一番最初は“とりあえず来月のライヴに出てよ”って誘われて。椎名を手伝うくらいの感覚で始めて、いつの間にか、ずっとやってたっていう感じですね」
チーナ vol.2


ロック、ポップスの現場はすごいオープンだった


──日本ではまだまだクラシックとロック、ポップスには隔たりがあるように思うんですけど、実感としてはいかがですか?
椎名「以前はクラシックをやってる人の道って、ある程度見えていて。みんな、演奏家の頂点を目指すんですけど、頂点の席は少ないから、それ以外の人は音楽を教える方に回るんです。私もそれが当たり前だと思っていたんですけど、そうじゃないな、と。演奏をもっと実践したかったし、評価基準が明確なクラシックと違って、ロックやポップスって、演奏は下手でも伝わるものがあったらそれでいいっていう部分がすごい魅力的に思えたんですね。つまり、自分自身をもっと出していきたかったし、探したくなったんです」
「私もずっとヴァイオリンはやっていたけど、小中学生の時はポップスも好きで聴いていて、大学時代にお仕事でレコーディングに行った時、その現場のいわゆるクラシックをやっていない人たちはすごくオープンだったんですね。でも、いざ、クラシックに戻ると“ポップスなんかやってるの?”って言われるのがすごい悔しかったし、なんで、同じ音楽なのに同じじゃダメなんだろう?って思ったんです。その点、チーナでは音楽に隔たりはなく、“音楽って楽しいよね!”っていうのが第一にあるので、“この曲はクラシックの要素を……”とか、そういう難しいことは考えてないですし、ただただ、いい曲を目指して音楽を作っているんです」
チーナ vol.3


毎回、自分にとっての挑戦を必ず盛り込むようにしているんです


──バンド畑育ちの西依さんと松本さんから見た女性陣3人の魅力はどこにあります?
西依「新曲が出来たってことで譜面を渡されるんですけど、“何だ、このコードは!?”って驚くことは多々ありますし、新曲の練習をしてる時に“譜面書かないで覚えられるの?”とも言われたんですけど(笑)、僕の場合、最初からすんなりと一緒に出来ましたね」
松本「バンドの曲って、セッション的に作ることが多いと思うんですけど、彼女たちの馬場合、はいって渡された譜面には全部のパートが決まっちゃってるので、隙間をぬってドラムを叩いている感じです。だから、その点は他のバンドと異なる個性ですよね」

──チーナの音楽って、肌触りはオーガニックですけど、ポップさとプログレッシヴさが同居しているところが実に魅力的ですね。
椎名「曲に関しては、毎回、自分にとっての挑戦を必ず盛り込むようにしているんです。だから、歌メロとか構成とかコードとか、自分で考えられるところはある程度までやって、これ以上、いいものはないっていうところまで出し切った後で、みんなにもそれをやってもらいたいというか、自分であれこれ考えて、それ以上のものが作れるように試行錯誤する時間を増やしたいんですね。で、みんな、それぞれがやってきたものを持ち寄って、合わせてから曲を作り上げていくんです。それが結果として、今のチーナの音楽になっている感じですね」
チーナ vol.4


このバンドをずっとずっと続けていきたい


──バンドとして、あるいはアルバム1枚で表現したいイメージや世界観はありますか?
椎名「うるさい曲を作ったかと思えば、私一人でいいかもしれないような静かな曲を作っちゃったり、毎回作り曲ががらっと変わるので、一時期はチーナらしさを意識したり、考えていたこともあるんですけど、メンバーには“椎名が作った曲は全部チーナの曲になるから”って言ってもらったこともあって、そこからは意識しないようになりました。ただ、アレンジに関して言えば、チーナは弦楽器がいるので、他のバンドと比べて、音の大きさより音の広がり、音域の幅広さに特徴があるんですね。だから、弦を刻むより、伸びたり、流れるようなものをイメージしていて、最初は刻んで、サビは伸ばすっていうのがチーナの基本になっていますね。あとレコーディングに関しては、クラシック的な、きれいな感じにならないように、木がこすれる音や弓がぶつかる音なんかも全部残して、野蛮な音で録るようにしています」

──そういう意味でチーナの音楽はいわゆるロックや、ポップスやクラシックの壁も壊した「音楽」ということですよね。
椎名「そう言って頂けるとうれしいですね。私はこのバンドをずっとずっと続けていきたいと思っているんです。1年続けただけで考え方や思いは変わってくるし、その時々で変わっていく自分たちを、その音楽を通じて表現出来たらいいなって考えていますね」


『Shupoon!!』
SOPHORI FIELD COMPANY/colla disc
12/09発売

チーナ
2007年10月結成。メンバーはヴォーカル、ピアノの椎名杏子、ヴァイオリンの柴由佳子、コントラバスの林絵里、サポート・ギターの西依翔太、ドラムの松本一哉。クラシック音楽の知識と演奏技術をロック・ポップスの自由な表現に溶かし込んだオーガニックな音楽性はポップかつプログレッシヴ。昨年12月に初の全国流通アルバム『Shupoon!!』を携えて、1月から全国ツアーをスタートさせる。

OFFICIAL SITE http://www.chiina.net/

Live Information
01.28(木)@千葉LOOK
02.12(金)@京都UrBANGUILD
02.13(土)@大阪 鰻谷Sunsui
02.20(土)@渋谷Duo

photo:石川ユーコ intervew & text:botra編集部
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